中村メイコさん香山まりこさんと帽子の話


3月の初め、ちょっとした事で右膝を痛め、用心のため10日間程家を出ないで


暮らしていた(4階エレベーター無しの住まいなので)時の事です、いつもの様に


キッチンで仕事をしながらYouTubeを聴いていたら、「大事なものから捨てな


さい」という中村メイコさんのお声が聞こえた、あらっ、お懐かしいと思いな


がらちょうど 色んなものを整理しななければ、と考えてた時なので真剣に聞


き入ってしまった。お懐かしいというのは、勝手なこちらの思いだけなのです


が、若い時、青山3丁目の角の ベルコモンズ と言うファッションビル1階


の奥の ミルサ と言う帽子のお店で 店長をやってた時の事です、ある日    


上手に帽子を被りこなしている小柄なご婦人がいらした、その方が中村メイコ


さんでした、素敵に被りこなせる日本女性に初めて会いました。私はサロンド


シャポーという 帽子専門学校の 修士課程の卒業論文のテーマにー日本人の


頭の研究ーと題して200人弱の頭の実寸をして、日本人は確かに短頭という事


実を掴んで 頭を触って、体格、顔相、身長、好み、姿勢、歩き方、色々総合


的に考えて、日本人女性にはどういう帽子が似合うか、自分の専門のスキルを


磨いていた時でした、そして 今度は海外の人の頭の実寸をして見たいと計画


をたて始めてた時期でしたので、日本にもこんなに素敵に被り熟せる方がいる


のを発見して、日本脱出を決心した瞬間でもありました、それから15年後の


バルセロナオリンピックの後の1994年頃だったと思いますが マジョルカ島で


絵の勉強をしている息子さんを訪ねてらっしゃいました。そしてー勝軍ーにも


食べにきてくださったのです、びっくりするやら 嬉しいやらですが、何にも


お話しする事が出来ませんでした。息子さんとは親しくさせていただいてたの


ですが、、、時の過ぎ去るのは早いものです。




この帽子の写真は私の友人、サロンド、シャポーの同期でー帽子の家ーを主催


されてる、 香山まりこさんの作品です(彼女の作品は世界でも類を見ない、品


のある 奥深い芸術的なものがあります)布の彫刻家として活躍されてます。 


コロナの事で作品展が出来ないでいらしたのですが、お元気ですか?と電話を


したら 今年は銀座で久しぶりに個展を開かれるとのこと電話の先の声のパワ


ーまた圧倒されました、日本にも 凄い帽子を作れる人がいる、そして被れる


人もいる という発見をしてから、私は自分のやりたい事のため 日本を後に


しました。42年まえのことです。


来年の話をしたら鬼が笑うと言いますが、ましては近年の世界情勢ではもっと


何も言えないでしょうが、来年は彼女90歳、お祝いに駆けつけたい思いを強


くしてます。会いたい、お話ししたい、声が涸れるまで、時を忘れて話しが弾


む人とはそんなに出逢えないと思う、遠くに来てしまって中々会えない、手だ


けは器用なのでせめて作品展の間だけでもお手伝い出来たらと思いつつ、何も


できないで 時は過ぎ去っていってます、二度同じ言葉がでてしまいました。


この写真はパリ郊外のベルサイド宮殿の中での展示会、私もマジョルカから駆


けつけて、丁度パリで暮らし始めてた、日本語の生徒だった、ベルギー人のア


ヌシュカ(偶然ですが、息子の友達のお叔母様になるそうです、ついこの前その


事がわかりました、)声をかけたらやってきてくれました、香山まりこさんの 


行動力の凄さに圧倒されながら、ベルサイユ宮殿の中でこんないい思い出を紡


いでくださった、人生の大先輩に感謝してます。